ただ、君を愛してる

大学生としての初日を迎えた誠人（玉木宏）にとって、静流（宮崎あおい）との出会いは予想外のものだった。大学の入学式で出会った静流と誠人はなぜか気が合った。内気で引っ込み思案の誠人は、なかなか人と打ち解けることができなかったが、静流には彼にそうさせる何かがあった……。静流のそばにいると、誠人は初めて自分らしさを出せる気がして、2人はすぐに親友になった。 写真を撮るのが好きな誠人と静流は、よく近くの森に行って写真を撮った。一緒に過ごすうちに、静流の誠人への思いは自然に深まっていったが、残念ながら誠人の心はすでに他の人に奪われていた。誠人が同級生のみゆき（黒木メイサ）のことを一途に思っていることを知った静流は、自分の運命を受け入れ、みゆきと友達にまでなった。しかし、誠人には「いつか私は本当に綺麗になるから、その時には私を拒絶したことを後悔することになる」と言っていた。それでも3人は仲良くなり、静流からコンクール用の写真撮影を手伝って欲しいと頼まれた誠人は快く引き受けた。森の中にあるお気に入りの場所に行き、誠人と静流は静流の思い描いた写真を撮影した。誠人と生涯でただ一度のキスをした静流は、誠人にとっては意味のないキスだとわかっていながら、その瞬間をフィルムに収めた。手伝ってくれてありがとうと誠人に告げた静流は、誠人の前から完全に姿を消してしまった。 数年後、誠人は行方不明の友人から電話を受け、彼女の写真展のオープニングに招待されるが、到着した誠人は衝撃を受ける。静流が去った日に失ったものに気付くのが遅すぎた誠人は、自分にはやり直すチャンスがないのではと考え始めるのだった。 市川拓司の小説『恋愛寫眞 もうひとつの物語』を原作とする『ただ、君を愛してる』は新城毅彦監督による2006年の恋愛映画。